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■なぜ高齢者は背中が丸くなりやすいの? ■背中の丸みは放っておいてもよいのだろうか? ■姿勢をよくするための自宅で簡単におこなえる方法があれば知りたい このような疑問や考えをおもちの方も多くいるでしょう。 背中が丸くなる原因は、「加齢」だけではなく「普段の生活習慣」も原因になりえます。 そのため、日頃から背中の丸みに効果的なエクササイズを取り入れたり、生活習慣を改善したりすることで、背中が丸くなるのを抑えられる可能性があります。 背中の丸みを放置すると、転倒や誤嚥(食べたものが気道に入る)のリスクが高まるため原因を正しく理解し、いち早く対処するのが重要です。 そこで今回は、実際の現場で約200名におよぶ高齢者のリハビリを担当してきた現役理学療法士が、以下について解説します。 ■高齢者の背中が丸くなりやすい原因 ■背中が丸くなると生じる身体への悪影響 ■姿勢を改善するために効果的なエクササイズ ■正しい姿勢を身につけるために気をつけたいポイント 記事の後半には、自宅で転倒しないための大事なポイントも解説していますので、転倒に不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
2024-03-19公開 2025-03-26更新
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臨床経験4年の現役理学療法士。地域の高齢者の豊かな暮らしを支えるために、訪問リハビリの業務をおこなう傍ら、これまでに得た知識や実務経験を活かし、医療・介護専門ライターとして精力的に活動している。
この記事の執筆者
背中が大きく曲がり丸くなった姿勢を「円背」といいます。一般的には「猫背」とよばれることが多いです。
人の身体は本来、筋肉や骨格がそれぞれ適切にバランスをとりながら正しい姿勢を保っています。
しかし高齢者の場合、筋力低下や骨自体の強度が弱くなると、正しい姿勢で身体を保つのが難しくなり、背中が丸くなりやすいです。
背中が丸くなると重心は傾くため、頭を前に移動したり膝を曲げたりして、バランスを保とうとします。
その結果、身体のさまざまな部位に負担がかかり、不調を感じやすい原因になりえます。
そのまま放置すると重大な病気やけがを患うリスクもあるため、いち早く対処すべき姿勢といえますね。
高齢者の背中が丸くなりやすい4つの原因は、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
高齢者の背中が丸くなる原因として、まず考えられるのが加齢による「骨密度の低下」です。
加齢とともに骨密度が低下することはすでに確認されており、女性のほうが男性より減少率が大きいとされています。
引用元:厚生労働省「骨密度|e-ヘルスネット」より
骨密度の低下は、骨そのものの強度低下に直結するため、背骨が変形しやすいです。
背骨が変形すると、猫背や背中の丸みといった姿勢バランス不良を招きます。
とくに「骨粗鬆症」の診断を受けている方は、骨密度が極端に低く、転んで尻もちをつくなどのわずかな力がかかるだけで、骨は耐えきれずに潰れやすいです。
*骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気のことです。
気がつかない間にさらなる背中の丸みにつながりかねないため、骨密度の低下には注意しなければなりません。
背中を丸めた状態で座りつづけると、姿勢を正しくキープするための筋肉が衰えてしまい、姿勢の悪化につながります。
実際、椅子に座っているときは、背もたれに寄りかかり背中を丸めた姿勢をとりやすい傾向にあります。
普段座って過ごす時間が長いほど、背中を丸めた状態が癖づいてしまい、改善するのが難しくなるため、普段の座り姿勢は注意すべきです。
運動不足による体を動かす機会の減少も、背中が丸くなる原因です。
運動不足によって筋肉が衰え、筋力や柔軟性が低下すると、正しい姿勢を保つのが難しくなります。
とくに、お腹や背中まわりの筋肉は背骨を支える上での欠かせない部分になるため、日頃からお腹や背中の力を鍛えていくことが必要です。
身体を左右に分けて考えたときに、どちらか一方を偏って使うと、片側の筋肉に負担が集中し、筋肉のバランスが崩れてしまう原因になります。
筋肉は、身体の左右でバランスをとりながら身体を支えているからです。
身体のバランスが崩れる代表的な習慣として、以下のものが考えられます。
普段から左右バランスよく筋肉を使うことも、姿勢を保つために大事なポイントです。
背中が丸くなると身体に生じる5つの悪影響は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
背中が丸くなるほど、バランス能力は低下し、日常生活動作に影響します。
背中が丸くなると、首や腰、足といった身体を支えるために重要な骨格のバランスが崩れ、重心を保ちにくくなるからです。
たとえば、背中が丸くなった人はそうでない人とくらべ、10m歩行時間や3分間の歩行距離において能力の低下がみられたという研究結果があります。
背中が丸くなると、歩くときや立つときの姿勢コントロールが不十分となり、転倒につながるため十分な注意が必要です。
引用元:J-STAGE「脊柱後弯変形とバランス能力および歩行能力の関係」
体内に酸素を十分に取り込めずに呼吸が浅くなるのも、背中が丸くなることで生じる悪影響の1つです。
通常呼吸をするときには、横隔膜や胸の筋肉を使っておこなっています。
しかし背中が丸くなると、身体の前方にある胸やお腹は圧迫され、呼吸に必要な筋肉や臓器が正常にはたらきにくくなります。
結果として、日常のちょっとした運動でも疲れやすくなり、動くことへの意欲低下にもつながりかねません。
背中が丸くなる姿勢は、頭や首が前方に移動し、顎(あご)が上がりやすい状態にあります。
飲み込んだ食物は本来、食道を通って胃へと流れていきますが、顎(あご)が上がることで食道が狭くなり、誤って気道に流れやすくなります。
誤嚥してしまうことによって肺炎にかかるリスクがあるため、食べるときの顎や頭の位置には注意しましょう。
背中が丸くなることは、精神面にも悪影響を及ぼします。
転倒への不安が高まったり、疲れを感じやすかったりと健康面に不安を感じることで社会活動に参加する意欲が低下し、気分の落ち込みにつながるからです。
引用元:内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)より
グラフを参考にすると、健康状態がよいと感じている方ほど、生きがいを感じる確率も高くなるのがわかります。
活気のある毎日を送るためにも、背中の丸みを改善し、正しい姿勢を身につけることが大切です。
背中が丸くなると、感じやすい主な症状は以下のとおりです。
身体の不調を改善するための1つとして、背中の丸みに対処する必要性があると言えるでしょう。
それぞれ解説します。
現代の日本人は男女ともに、「腰痛」を最も感じる症状として挙げています。
引用元:厚生労働省「2022(令和4年)国民生活基礎調査の概況」より
その腰痛を引き起こす1つの原因として、背中の丸みが考えられます。
背中が丸くなると、腰や背中の筋肉は引き伸ばされて負担がかかりつづけるため、疲労を起こし痛みを感じやすくなります。
また、骨密度の低下により背骨が折れやすくなるのも、痛みにつながる原因といえるでしょう。
肩こりや頭痛といった頭や肩の不調にもつながりやすいです。
背中が丸くなるほど、重心を保つために首の骨が前に傾き、頭が前に移動してしまいます。
その結果、負担がかかり血行不良や筋肉疲労を起こし、痛みを感じやすくなるからです。
とくに、頭を前に出して日中過ごしたり顔を下げて作業をしたりするのが多い方ほど悩まされる症状といえます。
背中の丸みは、上半身だけでなく足にも影響を及ぼします。
身体はそれぞれの部位が密接に連携して、姿勢を安定させたり動きをコントロールしたりしているからです。
背中が丸くなり腰が後ろに傾くほど、膝を曲げた状態でバランスを保とうとします。
そのため、太ももやふくらはぎといった膝周りの筋肉は過剰にはたらき、痛みや疲労をもたらしてしまいます。
また、放置してしまうと関節自体の変形につながり、膝が伸びにくくなったりさらなる痛みを引き起こしたりするため注意すべきです。
姿勢の悪化は、身体に悪影響を及ぼすリスクを多く含んでいるため、適切に対処する必要があります。
ここでは、丸くなった背中に対処するための3つのエクササイズを、厳選して紹介します。
どのエクササイズも自宅で座ったまま簡単におこなえるため、ぜひ試してみましょう。
ただし、エクササイズを無理におこなうと筋肉や関節を痛める可能性があるため、無理がない範囲でおこなうようにしましょう。
まずは、腹筋のインナーマッスルに効くトレーニングから紹介します。
正しい姿勢をキープするためには、身体の土台となる「腹筋」のトレーニングが欠かせません。
息を吸うときの肩をすくめる動作や、息を吐くときの前かがみになる動作は、エクササイズ効果が薄まるため気をつけましょう。
次に、フェイスタオルを使った肩甲骨周りのトレーニングを紹介します。
背中の丸みを改善するために、肩甲骨周りの筋肉を鍛えることも大切です。
肘を曲げるときに、胸をしっかりと張るのがポイントです。
痛みを感じる場合は無理をせず、上半身をラクに動かせる範囲でおこないましょう。
最後に、もも裏の筋肉をのばすストレッチを紹介します。
背中の丸みを改善するためには、骨周りの柔軟性を高めるのも重要な要素です。
上体を前に倒すときに、腰を曲げないように、やや反らした状態でおこなうのがポイントです。
背中の丸みを改善して正しい姿勢を身につけるために、日常的に気をつけたいポイントを3つ紹介します。
生活習慣の見直しは、根本的な姿勢改善につながるため、それぞれチェックしましょう。
正しい姿勢を身につけるために、運動する習慣は欠かせません。
運動習慣が身につくことで、姿勢を正しい位置にキープするための筋肉の機能を向上させることにつながるからです。
一般的に、年齢を重ねるにとるにつれて生活範囲は狭まり、体を動かす機会が減少します。
毎日の空いた時間を使って、無理のない範囲から運動する習慣を取り入れましょう。
姿勢の悪化を予防するためには、食生活を見直し、骨密度の低下を防ぐのも大切なポイントです。
ここでは、骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインをもとに、骨の健康を守るために推奨される食品や過剰摂取を避けた方がよい食品を、わかりやすく表にまとめます。
推奨される食品 | 過剰摂取を避けた方がよい食品 |
カルシウムを多く含む食品(牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品) | リンを多く含む食品(加工食品、一部の清涼飲料水) |
ビタミンDを多く含む食品(魚類、きのこ類) | 食塩 |
ビタミンKを多く含む食品(納豆、緑色野菜) | カフェインを多く含む食品 |
果物と野菜 | アルコール |
タンパク質(肉、魚、卵、豆、牛乳・乳製品など) |
引用元:日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」より
骨によい食生活を送るためには、骨の健康を阻害する食品を多く摂取しないことも求められます。
また、食欲低下や消化機能の衰えによって食べる量を十分に確保できない方は、医師に相談した上で、栄養補助食品を検討するのもオススメです。
栄養補助食品は、市販されているものもありますが、医療機関でも購入できます。
毎日規則正しく、バランスのとれた食事を心がけ、健康な身体づくりを目指しましょう。
普段の誤った姿勢を見直し、正しい姿勢で過ごす時間を増やしましょう。
正しい姿勢で過ごす時間を増やすことで、筋肉が固まるのを防ぎ、背中の丸み改善につなげます。
座り姿勢と立ち姿勢の正しい姿勢について解説します。
イラストを見ながら確認しましょう。
横から見たときに耳、肩、股関節が一直線上にある状態が正しい座り姿勢です。
頭が前に出ないように顎を引くことや胸を張ることを意識し、椅子に深く腰を掛けましょう。
疲労を軽減するために、腰と背もたれの間にクッションやタオルを挟むこともオススメです。
耳、肩、股関節、膝、足首が一直線上にある状態が正しい立ち姿勢です。
背中を伸ばした状態で、お腹やお尻をしめるように力を入れることで骨盤が起き、まっすぐ立ちやすくなります。
立つときは、重力が影響するため背中がより丸くなりやすいです。
まずは正しく立つことを「意識する」ところからはじめてみましょう。
背中が丸くなると、自宅で転倒するリスクが上がります。
実際に生活しているなかで、転倒に対する不安や恐怖を抱えている方もいるのではないでしょうか?
転倒を予防するには、身体的な機能の改善だけではなく「生活環境を見直す」必要があります。
自宅は医療機関や施設とは異なり、安心して暮らせるための環境が十分に整っていない可能性が高いからです。
環境を見直すにあたって、まず高齢者の転倒しやすい発生状況から把握しましょう。
内閣府の調査による、屋内における高齢者の事故発生場所は以下のとおりです。
引用元:内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版)」より
居室や台所、階段といった場所で事故が発生しやすいことが分かります。
とくに居室は生活のメインとなる場所であるため、転倒する原因を把握し適切に対処することが求められます。
など細かくチェックし、不安のない生活へつなげましょう。
不安なことや、心配なことがある場合はシニアホームの窓口へ気軽にご相談ください。
なお、高齢者の転倒・事故に関する内容は以下の記事でも詳しく解説しています。
転倒に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
今回は、高齢者の背中が丸くなる原因や改善するための対処法について解説してきました。
背中が丸くなる原因としては以下のものがありました。
背中が丸くなる原因は、加齢以外のほかの要素も大きく関与します。
「もう歳だから仕方ない...」と諦めることなく、普段の生活習慣から再度見直して正しく対処しましょう。
今回の内容が、正しい姿勢を身につけて安心安全な暮らしにつながるキッカケになれば幸いです。
シニアホームの窓口では、介護するご家族の暮らしにも役立つ情報を発信しています。
そのほかにも、
など、介護施設への入所に関する無料相談も受け付けています。
ご家族のことでお困りやお悩みを抱えている方はぜひお気軽にご相談ください。
総合介護事業会社で有料老人ホーム、グループホームなどの利益改善責任者を担当したのち「シニアホームの窓口ナビ」を立ち上げ。介護現場での経験をもとに「老人ホーム選びのホンネ」を解説しています。
この記事の監修者